次元バック
プロローグ
ーある春の日。

「ママ。ママはどこ?」
当時、小学1年生の私は病院のベッドの上でお父さんに泣きながら聞いていた。

「お母さんはね、いずれ帰ってくるよ。
冴栄が信じている限りお母さんはいつも心の中にいるよ。」
お父さんは涙声で答えた。

自分がなぜ病院で入院してたのか、なぜ父が泣いていたのかわからない。

私は母がいずれ帰ってくると思ってずっと待っていた。

でも、中学生の時、父が泣いていた理由段々分かってきた。


母は私達を捨ててどっかに行ってしまったんだ。。

父は悔しかったのだろう。
私は母が一気に憎くなった。

母の写真を捨てた。
母の片身のイヤリングも捨てた。
母の結婚指輪も捨てた。

父はその日別の女の人を連れてきた。
30歳ぐらいの人。
銀座にいるママみたいにメイクもばっちり。
私が今まで見たことの無い父の笑顔。

私の方が父と一緒に居たのに。

気づいたら泣いていた。



それから、私は誰も信じられなくなった。



私なんて必要とされてない。
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