不条理な恋でも…【完】
がたがた…(穂香)
「ほのか…
ほのか…
ほのか?」
誰かの声と、身体を優しくさぶるのを感じる。瞼を少しだけ持ち上げると、
そこには私に激しくくちづけた彼がいた。
「大希さん…」
今見ていたものは何?唇に残る感触があまりにもリアルで、
私はどうしたらいいのかわからず、身を固くしてただ彼の瞳を見つめていた。
「大丈夫か?」
私の右頬を左の人差し指で拭いながら、
大希さんがこちらを心配そうにのぞきこんだ。
やっぱり…
私泣いてるんだ…
どこからが夢でどこからが現実なのか、
わからなくなることが今でもたまにある。
止まらない涙を流したまま身を固くした私を、
大希さんはいつものように静かにふわっと抱きしめてくれた。
それはただ落ち着かせるための行為のはずなのに、私の躰は震え始める。
その震えを止めようとすると
体中がますます固くなってしまうのに震えは止められない…
抱きしめていた大希さんの腕の力が緩んだ。
手を私の腰に当てがって距離を少しおき、こちらの顔を再びのぞきこむ…
「俺が怖いか?」
「……」
彼の瞳が揺れているのに、私はいっぱいいっぱいで、何も答えられなかった。
それでも彼を拒絶したわけでないことを伝えたくて、ただ首を横に振り続けた。
ほのか…
ほのか?」
誰かの声と、身体を優しくさぶるのを感じる。瞼を少しだけ持ち上げると、
そこには私に激しくくちづけた彼がいた。
「大希さん…」
今見ていたものは何?唇に残る感触があまりにもリアルで、
私はどうしたらいいのかわからず、身を固くしてただ彼の瞳を見つめていた。
「大丈夫か?」
私の右頬を左の人差し指で拭いながら、
大希さんがこちらを心配そうにのぞきこんだ。
やっぱり…
私泣いてるんだ…
どこからが夢でどこからが現実なのか、
わからなくなることが今でもたまにある。
止まらない涙を流したまま身を固くした私を、
大希さんはいつものように静かにふわっと抱きしめてくれた。
それはただ落ち着かせるための行為のはずなのに、私の躰は震え始める。
その震えを止めようとすると
体中がますます固くなってしまうのに震えは止められない…
抱きしめていた大希さんの腕の力が緩んだ。
手を私の腰に当てがって距離を少しおき、こちらの顔を再びのぞきこむ…
「俺が怖いか?」
「……」
彼の瞳が揺れているのに、私はいっぱいいっぱいで、何も答えられなかった。
それでも彼を拒絶したわけでないことを伝えたくて、ただ首を横に振り続けた。