不条理な恋でも…【完】
明日はとうとう…

私たちの結婚式だ。

大希さんと付き合うまでの時間も長かったが、

つきあってからここまでたどり着くのも大変だった。


私はあんなことがあって大希さんの所に逃げ込み、

しばらく外界に出ることができなくなった。

本来であれば、一番逃げ込むべきでない場所だったのに…

一緒に行った夏祭り後、彼と決別する決意をして以来、

連絡をしてきてもこっちからの返信はしないようにした。

最初は気になって内容を見ていたが、未練がましい自分が嫌でそれもやめた。

でも着信拒否にすることはできなかった…

大希さんから離れて、一人で生きていこうとやっきになっていたあの頃。

あの事件は起きた。

ギリギリの極限状態に追い込まれた時、私が頼れるのは肉親の所ではなく…

彼のところだった。


私自身は多くの人前に出ることはあまり好きではなかったので

入籍するだけでも十分だった。でもさすがに小さい会社とはいえ

社長の彼にそんなことは許されるわけがなかった。


それでも私を守ることを一番に考えて、

私に過度のストレスがかかるのを極力避けるようにと、

式と披露宴を最低限にして、色々と心を砕いてくれた。
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