不条理な恋でも…【完】
とうとう…(穂香)
私は逃げたい衝動とためらいの気持ちで
つい手近にあるドアをがばっと開けた…
暗闇に浮かび上がる白っぽく見える大きなベッドが
瞳の真ん中に飛び込んでくる。
思わずその光景に目を見開き、
ドキンと一度だけ跳ねあがった心臓にびっくりして
慌てて部屋に一歩だけ踏み込み、ドアを思いっきり閉めてしまう。
バタン…
TVの音だけがしていた静かな部屋をドアの音が鋭く切り裂く。
私はそのまま立っていることもできなくなってドアに背中を預け、
目を閉じると、そのままずるずるその場にしゃがみ込んだ。
ここまできたんだ。そう、とうとうここまできてしまった…
私が大希さんの家を出て2年になる。
最初は何もかもが怖くて、ただ逃げ込む場所だった。
その住人である大希さんすら怖い時があった…
あの頃どうやって息をしていたのか…
どうやって生きていたのかすら…
正直あまり覚えていない。
それまでも辛い時は結構あったが、
それでも何とか一人でやってこれていたはずだった。
あの時は、ふわふわと漂うような気分の時と、
絶望的な暗闇と恐怖心が世界の全てになった時が
交互にあったような気がする。
つい手近にあるドアをがばっと開けた…
暗闇に浮かび上がる白っぽく見える大きなベッドが
瞳の真ん中に飛び込んでくる。
思わずその光景に目を見開き、
ドキンと一度だけ跳ねあがった心臓にびっくりして
慌てて部屋に一歩だけ踏み込み、ドアを思いっきり閉めてしまう。
バタン…
TVの音だけがしていた静かな部屋をドアの音が鋭く切り裂く。
私はそのまま立っていることもできなくなってドアに背中を預け、
目を閉じると、そのままずるずるその場にしゃがみ込んだ。
ここまできたんだ。そう、とうとうここまできてしまった…
私が大希さんの家を出て2年になる。
最初は何もかもが怖くて、ただ逃げ込む場所だった。
その住人である大希さんすら怖い時があった…
あの頃どうやって息をしていたのか…
どうやって生きていたのかすら…
正直あまり覚えていない。
それまでも辛い時は結構あったが、
それでも何とか一人でやってこれていたはずだった。
あの時は、ふわふわと漂うような気分の時と、
絶望的な暗闇と恐怖心が世界の全てになった時が
交互にあったような気がする。