不条理な恋でも…【完】
その二つの時間が少なくなったある日、

私は大希さんに手を引かれて突然外に連れ出された。


車に乗ってどこかに連れて行かれる道すがら…

とにかくすべてが怖かった。周りが私を見て嘲笑っているように見えた。

車の向こうの運転手が眉間を寄せて、こっちを睨んでいるように思えた。

大希さんが突然アクセルとブレーキを間違えて、

中央分離帯を越えて反対車線に飛び込むんじゃないかって…

気が気じゃなかった。

でも、大希さんは終始安全運転で…

私はある心療内科に連れて行かれた。


彼は私をゆったりとした椅子に座らせてから、

受付で段取りよく私の保険証を自分のカバンから出し、

何か紙をもらって私の元に帰ってきた。

それからいくつか質問されたことに答えると、

大希さんはそれを紙に書き込み、受け付けに渡す。

それから自分の名前を呼ばれたので立ち上がると、

大希さんが後ろから私の背中を押してくれ、なすがままに歩いた。


小さな部屋には、机の向こうに優しそうに微笑む男性が座っていた。

私は入り口に近い椅子に促されて座り、大希さんが隣に腰かける。

この前起こったことを大希さんが向かいに座るお医者様らしい人に説明した。

彼がなぜ知っているのか…

その説明に耳を傾けて、ほぼ正しいことに驚いた。
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