不条理な恋でも…【完】
ぐずぐず…(穂香)
ベッドルームに飛び込んでから、考え事をしながら暗闇の中

しばらくしゃがみこんでいた。


どのくらいたったのだろうか…

さっきドアが閉まる音が部屋の外から1度聞こえた。

まさか外に出るはずないから…

もう一つのドアはバスルームに繋がっていたはず…

そう『バスルーム』に…


そう意識してしまい、せっかく落ち着いてきた心臓の鼓動が一気に加速する。

こんなことにいちいち過敏に反応し過ぎたら、

今夜すら生き延びられないだろう。


どうして、こんなにぎこちないんだろう…

どうしてこんなに変に意識してしまうんだろう…

私はもう10代の小娘でもないし、初めてって訳でもない。

今更そんなに怯えるなんておかしいはずなのに。


大希さんの家に転がり込んでしばらくの間一緒に暮らすうち、

最初は自分のことでいっぱいいっぱいだったから気が付かなかったが、

段々と元に近い生活を送れるまでになった時…

私は彼の深い想いにたじろいだ。


それはどう考えても友情なんて生易しいものではない。

どんな私でも…

あんなボロボロになっても、

彼を拒絶することのある私ですら全身全霊で受け入れてくれた。

また私がわかるように言葉と行動でその想いを伝えてくれた。

それがあったからこそ、今の私がここにいる。
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