不条理な恋でも…【完】
私は、大希さんに返しても返しても返しきれないほどの恩がある。

それに気が付いた時、私は大希さんに何ができるのだろうかと考え始めた。


こんなお荷物で独り立ちすることさえできていない自分だけど…

だけどもう一度、完全ではなくっても、大希さんの助けを借りながらでも

この家を出て、対等な人間として彼と向き合いたかった。


彼のパートナーにもしもなる事を許されるとしたら、

それは少しでも彼にふさわしい精一杯の自分の力を試して

納得して後の事だと思った。


最初、自分のアパートに戻りたいと大希さんに伝えると、

驚いた顔をして「今度お医者様に聞いてから全て話そう…」とだけ言った。


予告通り次の時お医者様に相談してくれ

「通院と服薬を続けるなら大丈夫だと思われますが…」と言われたとき、

一瞬暗い色の瞳をしたが「ありがとうございます」とお礼を言っていた。


彼の家に一緒に帰り、話し合おうと身構えた私に、

「いつにするつもりだ?」

と聞いてきた。それから彼は間髪入れずに、私の返事も聞かず、

「いつにするか決まったら教えてくれ。

携帯だけは俺が用意したものを使って欲しい…」

それで話し合いは全て終わった。


ダメと言われると思っていた私は、大希さんの反応に驚いた。

この信頼に私は答えを出せるのだろうかと、不安だった…


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