不条理な恋でも…【完】
大希さんがバスルームに行ったのなら…


物思いから戻ってきた私は、

確かこの部屋にあったはずの彼の荷物を探し始めた。

こんな私だけど、今ならあの時よりは大希さんにできることがある。

そう、できることが増えてきた。それも結局は彼のおかげなのだけど…


ベッドの向こうにいつも彼が持ち歩いているキャリーバッグを見つける。

暗証番号を合わせて開けると、変わっていない荷造りの仕方…

それは大希さんの癖。馴染の景色に、つい微笑みが浮かぶ。

それから彼がいつも着ている部屋着を取りだして…

あと下着も一緒に持つと、バスルームにこっそりと忍び込んだ。


目に飛び込んできたのは、おそろいの真新しいバスローブが二つ。

やっと落ち着いた心臓がまた早まってきてしまい…

今日はずっとこんな感じが続くんだろうか?どこまでもつのだろうか?

足元には脱いだ服が散らばっていて…

彼らしくないなと思いながら畳む。

それから持ってきたものを置いてそそくさとリビングに戻った。


以前一緒に住んでいた時にリハビリの一環として、

おままごと程度の家事をしていたが、あの時もこうやって、

着替えを用意したりしたっけ…

さっき眠っていたソファーに座り直して、辺りをゆっくりともう一度見回した。
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