不条理な恋でも…【完】
ゆらゆら…(大希)
床から、ソファーに座り直す。

このままほのかが出てきても床にいたら、おそらく遠慮するだろう…

目の前のTVではドラマが始まっていた。

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『紅茶いる?』

『うん…

いつもありがとうね』


来週から大学に行くため独り暮らしをする息子が、

母への押さえきれない身勝手な激情を叶えるためだけに、

カノジョに睡眠薬入りのお茶を勧めている…


そう、これは実の母に恋をする息子の禁断の恋。


色っぽい母親が、息子の入れた紅茶を最後まで飲み干す姿を

息子はじっと息を呑んで見つめていた。

「美味しい…」

そう囁いてカップを置いて本を読み始める…

息子も黙ったまま向かいに座って本を読み始めた。


いつの間にか、本を置き向かいのソファーで寝てしまった母。

息子はカップを片づけ、眠っているカノジョの左手を取り口付けた。


そして、その細い薬指にある指輪をそっと抜き取り

目の前のテーブルの上に置く。


「まさとぉ~」

手を握ったまま物思いにふけっていると

母が父親ではない男の名をつぶやいた。
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