不条理な恋でも…【完】

このはじまりがあったからこそ…

「ほのか、ちょっと…」

呼ばれた私は大希さんの前に立つと、

椅子に座り手に取った紙に目を通していた。


その紙は…

わかった時にはもう遅かった…

「座って…」

静かな口調だが、目は紙に釘づけだった。


しばらく沈黙が続き、それに耐えられなくなった私が

「大希さ「ごめん。ちょっと黙ってて…」」

何か言おうとすると遮られる。その声色は強かった。

私は俯いたままただ黙って、紙のめくれる音だけのするリビングで

座っているしかなかった…


全てを読み終わった大希さんが紙をテーブルにおろし、

私の隣に腰を下ろした。

「悩んでいたのか…?

いつから?」

「…」

「どのくらい前から行ってるんだ?」

「…」

「…調べればわかるんだ。できたらお前の口から全て聞きたい…」

顔を上げると、険しく眉を寄せて心配する大希さんの瞳が飛び込んできた。


「…1年くらい前。

どうして私にはいつまでたってもできないのかと考え始めると…

つら…」

最後まで言い切れなかった。そんな私を大希さんは静かに抱きしめた。

「ごめん…

俺がすごく幸せだったから…

全然気が付かなかった。全くわからなかった…

本当にごめん」
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