青春を取り戻せ!
その代わりに、うまく採用になって彼らをこらしめることに成功したあかつきには、あなたの専属の助手に新採用してね、と書いてあった。

1ヶ月後には採用試験に見事合格という手紙がきた。

その後の手紙で、白木が未美との結婚を社員にやっと報告し、盛大な披露宴が行われた。

10カラットのダイヤの指輪をした純白のウェディング姿の新婦は美しく、あなたに見せてやりたかったと、皮肉まじりに書いてあった。

…しかし今の僕にはなんの感傷もなかった。

…10カラットのダイヤとはふざけてやがる!という呆気と怒り以外は……。

そして未美が家庭に入るので、その引き継ぎの一部を、優紀がやっているという話だった。

未美が会社から手を引くのは有利な展開だった。…今後の復讐計画でも僕のことを良く知っている未美の存在がネックになっていたからだ。

優紀は持ち前の明るさで状況を報告してきたが、憎むべき未美に仕事の手ほどきを受けていたことは苦痛だっただろうと想像できた。

…またも彼女にすまない、という気持ちが湧き起こり、それが彼らに対する憎しみに転嫁するのを感じた。


もう刑期まで3ヶ月という時に、彼女から丁度250通目の手紙がきた。
僕の頼んでおいた調書が入っていた。

それによると、白木の会社(株)生体科学製薬の昨年度の売上げは、僕の作ったイオン交換樹脂が高コレステロール血症の他に動脈硬化の予防薬としても適応症を取り、順調に売上げを伸ばしたために、なんと初の30億円を記録していた。
そして危惧していた老化防止薬は幸いなことに彼らの手に落ちていないようだった。
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