青春を取り戻せ!
薬の世界とは一つのヒット商品だけで、銀座にビルが建つ程、逆に言えば浮き沈みの大きな芸能界や水商売とも共通する世界なのだ。
例えば、タケダ製薬もアリナミン一つで、三共製薬も抗癌薬のクレスチンで、崩壊の危機を乗り越え、実際に大ビルを建ててしまった。
話をもとに戻すと純利益は年間1億円であった。その数字だけを取ると凄いものがあるが、売上げが30億円ということを考えると異常に少ない。通常もっとも金のかかる研究開発費は僕がタダ同然でやってしまったし、今考えるとお人よしだった僕は、5万円を握らされてごまかされていた。
つまり彼らのことだから、まともに税金を納めていないのは推測だけではないだろうと考えられる。
僕の投獄されていた7年間で、僕の作った薬に寄る利益を単純に計算すると、設備投資や人件費を引いても40億円はあると思える。
…その40億円をまず返してもらうつもりだ。
・・・それと、失われた青春を!
もう一つ調べてもらった、白木夫婦の半年後のスケジュールは、8月10日から3日間、軽井沢プリンス・ホテルに滞在予定になっていた。
…いい気なものである。僕が看守と懲役の暴力に怯える日々を過ごしている間、彼らは名に不自由なくこういう生活を満喫していたのだろう。
そして、彼らのことだから、必ずゴルフの予定を入れていると睨んだ。
まず、そこに着目してみようと柳沢と、計画を練り直した。