青春を取り戻せ!
「わかってるよ。板倉ちゃんは心配性なんだから」

「それともう一つ、僕は水島高嗣助教授だよ」

いま一つ心配を払い切れなかった。


柳沢は、城南大学のウィルス学助教授になりすました僕に対して、ミスをしたショットにもオーバーにナイスショットとおべっかを使い、持ち上げるだけ持ち上げ、しがないセールスマンの役を演じた。

「助教授とは、どこかでお会いしたことございませんか?」

と、3ホール終わった所で、未美が厚化粧の顔で僕の目を覗き込むように聞いてきた。

バレたか!?
という思いが電流となって、心臓を直撃した。が、この場面は初めから想定していたので、なんとか平静を保てた。

「いいえ。最近、雑誌やテレビにでる機会がありますので、それでじゃないですか?」

と言った後、僕は豪快に笑った。

彼女は昔から変わらない媚を売るようなしぐさで首を傾け、今はアバタにしか見えないエクボを浮かべたが、まだ納得いかないようで、白木に尋ねた。

「ねぇ、あなた。先生にどこかでお会いした記憶ありません?」

「先生は有名人だから、何かで拝見させてもらってるかもしれないけど、こうやってお話するのは初めてだと思うよ」

…よかった!?と、僕は胸を撫ぜ下ろした。

柳沢と僕が話の端にエイズ治療薬のことをちらつかせると、予想通り、白木はあからさまに興味を示してきた。

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