青春を取り戻せ!

有名新聞の記事というのは現代人はバイブルのように盲目的に信用してしまう節があるので、効果的に利用してみたのだ。

案の定、白木は唾を飲み込むと、真剣な表情を柳沢に向けた。

「これの権利を阿木さんの会社が買ったわけですか？」

「いいえ」

「どこが買ったのですか？」

「いいえ。…私の情報で、株価が跳ね上がるだろうと推測され、大量に買われては申し訳ないので、はっきり言っておきますが、まだ、どこも買ってません」

「でも阿木さんの接待を気楽に受けるようでは、あなたの会社が一番有利ということでしょう？」

「他の会社もこの薬を手に入れることの重要性を重々知ってますから、一歩有利というだけでは少しも安心できませんよ」

「ふーん。…話のネタに聞きたいのですが、権利を買う為の入札価格は大体いくら位なんですか？」

「びっくりしないで下さい。なんと４０億円を提示した会社があるそうです」

「凄いですね！独占期間（※日本では最初に薬を開発して先発した企業に５～8年間の独占期間が認められている）で回収できるのでしょうかね？」

「それは勿論。世界中に今現在４４万７千人のエイズ患者がいます。キャリヤを含めると、６百から１千万人になります。

そして、こうしている間にも飛躍的に増えています。これを製品化するまでに４、５年かかりますが、その間に有効な治療手段が開発されてなかったら、その数は現在の何10倍かには恐らく増えてます。