青春を取り戻せ!
車海老は歯応えがあり、貝とイカにも味付け以外の天然の甘味が感じられ、中華料理につきものの致命的なしつこさも感じられず、確かに美味かった。

しかし僕は、つけ髭が気になり、それと緊張のためか胃の働きも悪く、少ししか食べられなかった。

話はゴルフのことから始まり、最近の医学のことに移り、彼は僕(※水島助教授)の初期の論文について誉めたてた。

…彼は僕同様、水島助教授に関する事を色々調べているようだった。

次に銀座の凱旋門という名のバーに連れていかれた。

そこは、まるでゴシック様式の教会のような内装で、壁にとられた大きな窓にステンドグラスが嵌め込まれ、窓の向う側から淡いライトが当てられ、無理やり幻想的な光を作り出していた。

その光の中では、減点法で採点しようとすると、満点ばかりの美女が大挙していた。

我々のテーブルにワンレン・ボディコンのモデルのような二人の女が近付いて来た。

白木は常連のようで、挨拶には「この間は」とか、「いつぞ夜は」などという接頭語がついた。

その会話を聞きながら、僕の発明で儲けたお金をこんな所で使いやがってという、いささか見当外れな怒りを感じていた。

僕の隣には、スパニッシュの血でも入っているのかとも思えるエキゾチックな美女が、彼の横には、シャープな顎を持った理知的な、少し未美に似ている美女が座った。

1時間余りも世間話とゴルフ談義に花を咲せた。彼はまだ肝腎の薬の権利の商談は仕掛けてこない。

また30分が経過していた。まだ仕掛けてこない。餌に食い付いてこないのか?
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