青春を取り戻せ!
一流の銀座のホステスたちは雑学には精通しているようで、くだらない話もそれなりに面白いのだが、多少焦れてきていた。

僕がトイレから戻って来ると、白木が立ち上がった。トイレかな?と思っていると、横の未美に似ている美女も立ち上がり、彼の腕に腕をからめた。

「先生、私はこのナターシャ(※源子名)と用がありますから、また後程ご連絡させていただきます」
と、微笑んだ。

僕は多少面食らった。

(商談はどうしたんだよ~)出口に歩みかけている彼を追った。

「どういうことですか?」

「先生は真面目なんだから、…リバティ(※源子名)と今日は楽しんでください。それとも彼女がお嫌いですか?」

(そういうことか!?)

「いいえ、そんなことはありませんけど、…そうだ!?今度連絡する時はここにお願いします」

と、僕は携帯電話のナンバーを渡した。…これ以上本物の助教授に迷惑は掛けられないと思ったのだ。
助教授には白木から今後電話がきても居留守を使ってもらうつもりだ。
そして僕とも無関係を装ってもらい、もし万が一、将来、警察の調査が入っても、名前を使われた被害者だと主張してくださいとお願いしておくつもりだ。

「はい。承知しました。先生も遊び仲間との電話ばかりじゃ、立場がありますからね」

「そういうわけではないんですが、あそこは一度、電話交換師を経由しますからね」

「ウフフ…わかりました」
白木は全て得心したように微笑むと、
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