青春を取り戻せ!




空港の出口のドアが視界に入ってきた。

おそらくその外にパトカーが待ち構えているのだろう。

ビジネスマンらしい青年が颯爽とした格好でその並んだ出口の一つを過ぎて行った。

僕のほうは落ち着きつつあった。
何故か、優紀の手紙に書かれていた詩の一節が繰り返し頭の中を駆け巡りはじめたからだ。獄中で何十回と目を通し、脳裏に刷り込まれた詩の一節が……。

『青春を持っている限り、不可能はないという。昨日想い描いた夢は、今日の力となり、そして明日にはこの手の中に握り締められるだろう』

言葉の持つ意味の一つひとつが脳細胞を刺激した。
体の深いところにある発電所の火が、ちろちろと燃えはじめたのがわかった。
少しづつ力が湧いてくるのがわかった。
(そうだ!? 奪われた青春を取りかえすんだ!)

もう一度、その詩を噛み締めた。

青春を持っている限り、不可能はないという。
昨日想い描いた夢は、
今日の力となり、
そして明日には、この手の中に……、
この手の中に握り締められるだろう。
My heart throbs with first youth
これからも夢に向かって、私は歩いていく。
My heart throbs with joy with you


僕はトランクを持っている両手を握り直した。腕に感触が蘇っていた。そしてまわりも見えるようになった。

見渡した限りでは、他には刑事はいないようだ。

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