【BL】偽りの愛
彼と来たのは、安っぽいホテル。
上着を脱いでベッドに腰掛ける。
「名前は?」
僕に近づいて彼は言う。
心臓がなる。
だから、期待するな。
「どうだっていいだろ、名前なんて。言ったじゃないか、抱いて欲しいだけだって。」
「ふーん……」
彼は僕を押し倒す。
そして顔を近づけてきたから、それを止めた。
「キスはなし。」
「何でだよ?」
…勘違いするから。
「気持ちのないキスは、好きじゃない。」
「ふっ……随分と乙女思考だな。」
彼はそういうと首筋に顔を埋めてきた。
そして徐々に下へと動く。
身体を弄る手が、思ったよりも優しくて少し戸惑った。