ここにいるよ
憧れの存在
いつの間にか外灯が付き本格的に夜になった
忍の瞳に私が映る
ドキドキしながらその瞳に吸い込まれそうになる
「俺……」
忍の優しい声が胸に響く
何を言われるんだろうと緊張して何度も唾を飲み込んだ
公園にはもう誰もいなくなり風の音だけが聞こえる
忍のサラサラした髪が風で揺れるのをただ見るしか出来なかった
「………」
「俺、渚ちゃんが思うような奴じゃないよ?」
「………」
いつになく真剣な顔に隠れる切なさがドンドン伝わって言葉にならない
「すっげー弱くて自分の意思も持てない奴なんだ…」
「忍?」
「ちょっと、昔話してもいい?」
「………」
張り詰めた空気にただ一度首を縦に振った
「俺……」
私の合図を確認すると途切れ途切れに話し出した