ここにいるよ
「渚ちゃん?」

「な、何でもない!ココア遅いね!」


精一杯笑ってごまかす


心配して顔を覗いてくる忍に顔を見られたくなくてより一層俯いた


「渚ちゃん!!」

「!」


忍の声に反応してとっさに顔を上げた


その瞬間!!


!!!


………


しの………?


テーブルに身を乗りだしいきなりキスされた



何が起こったのか分からず目を開けたまま固まる



忍の顔が近くて心臓が跳びはねる



周りの声が掻き消されるぐらい忍で一杯


忍の髪が私のおでこに触れ我に返り慌てて忍から離れた



恥ずかしくて一気に涙がひく


カフェ中を見渡すとさっきまで騒いでた女子達が口を開けて呆然としてた


窓の方に目線を反らすと窓の外でも歩いてた人達が立ち止まったままこっちを見てる



忍は文句言ってた女子達にアッカンベーして



私の顔を見ていつもの笑顔


「自信持ってよ」

「………」

「周りなんて気にしないで、俺にとって1番可愛いのは渚ちゃんなんだから」


「///」


眼鏡から覗く大きな瞳は嘘偽りなく感じた



「渚ちゃんは、可愛いよ!俺の為にクルクル巻いてくれた髪とかリップとか…でも別にそんなに頑張らなくてもいいよ…渚ちゃんはそのままで可愛いから!あんなの気にしないで堂々としててよ」




頬杖付きながらまたニカッて笑った



忍、気付いてくれてたんだ


髪もリップも何だか凄く嬉しい



嬉しすぎて忍の顔見れないよ


自然とはにかんじゃう


人前でキスなんて恥ずかしいけど…


忍のその笑顔にはどんな感情もスッと消えちゃうの…



自信…

持っていいのかな

彼女なんだって自信……

持ってもいいの?


忍の笑顔と言葉は不安を不思議と取り除いてくれる



やっぱりこの人を好きになってよかった


本当に心からそう思う


忍……

大好きだよ
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