ここにいるよ
「………」
「………」
二人は冷たい空気の中、黙り込み目を合わせた
そんな雰囲気を壊したくて話を切り出す
「一樹に言ってなかったよね…何度も言おうとしたんだけど言いそびれちゃった…ごめんね!黙ってて…」
反省して頭を下げるんだけど二人は聞く耳なし
どうしたんだろう
何で
こんな雰囲気になるの??
何だか二人が急に知らない男の子みたいで居心地悪い
「……おい」
しばらくして緊迫した空気を遮ったのは一樹だった
一樹は私の顔を見ずに話を続けた
「お前、弁当食ってねぇだろ?とりあえず食ってこいよ」
「え…一樹は?」
「俺はもう食ったから、里子が待ってるぞ」
「で、でも…」
忍の方を見ると彼は少し寂しそうに一度首を縦に振った
行っておいでと言ってる感じがした
「わ、分かった…すぐ戻るから待っててね!」
そう言って屋上を後にした
「いつから?」
「え?」
「いつから付き合ってんの?森村と」
「一週間前ぐらいから付き合ってる」
「……マジかよ」
「……マジ」
二人は屋上のフェンスによっ掛かり隣り合わせで話す
一樹は少し凹み俯く
忍もつられて俯いた
「何でよりによってあいつなんだよ」
一樹は本当に小さい声で呟く
「一樹?」
忍は当然聞こえるはずがなく聞き返した
「何でもねぇよ」
「一樹は渚ちゃんの事好きなんだな…」
「は?」