ここにいるよ
「でも、譲る気ないから」
「……」
「やっと見つけた本気の恋だから」
「………」
「今までは、ただ付き合うだけだった…でも、渚ちゃんと会って初めて大事にしたいと思った」
「………」
「一樹…ごめんな」
「忍…」
「ん?」
!!!
「いっ、痛いって!」
だんまりしてた一樹は突然忍の耳を引っ張る
「………」
「何だよ!急に!痛ぇよ」
勢いよく離れる忍
「あいつ、泣かしたら許さねぇからな」
「………ああ」
「っうか、別に好きじゃねぇから」
強がる一樹に忍は何も言えなかった
「………」
「とにかく大事にしてやれよ」
「ああ…」
忍は引っ張られた耳を触り笑顔で応えた
「でもよくあの母さんが転校なんて許したな」
「あ、ああ〜」
「何て言って説得したんだよ!」
「簡単☆簡単☆」
「??」
「一樹と同じ学校行きたいって言ったらすぐ了解した」
「母さんも単純だな…」
「まぁ、そのお陰で入れたし♪」
「マジ、ありえねぇよ!転校だなんて…」
呆れ返る一樹に笑顔を振り撒く
「嬉しいだろ?お兄チャンが近くにいて」
「ハァ〜最悪だ…」
深いため息をつきながらしゃがみ込む一樹に忍はまた一樹の頭を撫でた
「あ〜楽しみ〜」
ブルーになる一樹をよそにこれからの期待を胸に忍は背伸びした
「ハァ〜最悪だ」