ここにいるよ

何分ぐらいそこにいたのか分からないくらい力が抜けて立てずに泣いた


「ねぇ…何で泣いてんの?」


「え…」

腰を下ろし話し掛けてきた


「あ…何でもないです」

誰、この人

知らないよ


「約束すっぽかされたとか!そりゃ泣いちゃうよね…よかったら一緒にどっか行かない?とりあえずその格好どうにかしようか!服、買いに行こっ」


その男の人は、一人で盛り上がってぺらぺらしゃべってる


何なの?

ナンパ?!

に、逃げなきゃ…!

そう思った時は遅かった


腕を強く引っ張られ立たされると腰に手を回され力を入れてくる


「ホラッ、早く行こう」


や、やばい!

力強い!

逃げられない!!


誰か、た、助けて!!


必死に抵抗しようとしてもダメ…


力では男の人には敵わないよ!


「だ、誰か…」

怖くて大声出せない


「♪♪♪」

この人は、嫌がってる私に気付かない


「た、助けて!しの…」


いるはずのない人の名前を口にしようとした



その時!



「ごめん!待たせたね」
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