ここにいるよ
確かに彼だよ…

恥ずかしくなって

顔を上げられない

「君、渚ちゃん?!」

「は、はい!!」

彼の質問に勢い余って返事しちゃった


顔をあげるとやっぱり忍だった



彼は帽子を脱いだ

サラサラな茶髪が風になびいて


太陽に透けてとてもきれい


雑誌のままの彼がいる

意外と高い背に私は首を曲げる


「俺、原田忍です」

「し、知ってます…」

「そ、そっか」


そんなの、知ってるよ

当たり前だよ

私はあなたが大好きなんだよ


自然に笑顔がこぼれる

本当に彼がここに?

信じられなくて

頬をつまむ

「だ、大丈夫?」

つまみすぎて頬が真っ赤になる


彼が心配してくれる


忍がここにいる


ここにいるんだ…


今、起きてる現実に耐え切れずまたその場で腰が抜ける
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