ここにいるよ
「ちょっと何処にいくのよ?」


「………黙ってろ」


無愛想にまだそっぽ向いてる



もう〜何よ

やっぱりまだ怒ってんのかな


タクシーの中は静寂で

どんよりして運転手も

居心地悪そうにしてる


「ねぇ!一体何処に行ってるかぐらい教えてよ!」


「………」


鎮まる雰囲気は、性に合わずいらいらして切れてしまった



「一樹!!」


久しぶりに一樹の顔を見る


身を乗り出して質問する私から目線を反らし静かに


「すみません、停めて下さい」



一樹の一言でタクシーは停まる


「8500円になります」


「お釣りは、いいです」


一万円札を出してタクシーからさっさと降り私の腕を引っ張る



「ちょ、ちょっと痛い!離してよ!!」



無理矢理、掴まれる手を勢いよく離した




「着いたぞ」


無茶苦茶で勝手な一樹に意味が分からず睨んでしまう


一樹はお構いなしに歩いて行く


もう、こんなんじゃ仲直り所じゃないよ
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