憎しみという名の恋 ~光と影~
side星
帰りのHRが終わった後、体育館でバス
ケ部の練習をしている時に、教室に明日
の課題のプリントを忘れていることに気づいた俺は、急いで体育館を出た。
「降りそうだな…」
あいにく外は分厚い雲に覆われていて今
にも雨が降り出しそうだった。
急がねぇと、部活が終わっちまう。
2年の教室は2階にあるため、俺はダッシ
ュで階段を駆け上がる。
「おい、影山!廊下は走るなー。」
途中で体育教師とすれ違って怒鳴られたけど、軽く流して教室に辿り着いた。
机の中にあったプリントを乱暴に取り、
走って外に出た。
「はぁっ、はぁっ…」
しかし間に合わず、すでにバスケ部のやつらが体育館から外に出てきていた。
「チッ。」
仕方なく部室に戻り、制服に着替える。
その頃にはもう、外は土砂降りの雨が降っていた。
俺は、青色の折り畳み傘を取り出し差して帰路につく。
憂鬱な気分のまま、正門まで歩いている
と、少し遠くに見覚えのあるお下げ髪を
見つけた。
「闇風…?」
そのお下げ髪は闇風だった。
傘も差さず、走りもせず、ゆっくりと歩
く彼女はわざと濡れているようにも見え
る。