憎しみという名の恋 ~光と影~
「影山くん…」
眠たそうに欠伸をしながら歩く彼を見て
不意に、昨日の出来事を思い出した。
ーーどうして彼は私に傘を貸してくれた
のかな?
そんな今更の疑問が浮かび上がった。
ーHR
「皆よく聞けー!」
そんな言葉と共に担任が教室に入ってき
た。
若い理科の教科担任の、斎藤先生だ。
誰が考えたのかわかんないけど、その声の大きさから、生徒に「うる斎藤」と呼ばれている。
…うん。
全くもってネーミングセンスないよね…
「もうすぐ中間テストだぞー!」
うる斎藤(←ちゃっかりあだ名で呼んでる )のその言葉にクラスメイトは野次をとばす。
「えー!やだぁー!!」
「勉強しねぇー!ノー勉でいくし!!」
所々でそんな声が聞こえてくる。
「テスト範囲発表するぞー!」
そう言ってうる斎藤はプリントを配り始める。
「今回は数学Ⅰと古典がかなり難しいぞー
!しっかり復習しとけよー!」
「はぁーい…」
やる気のなさそうなクラスメイトに呆れ
ながらも担任は教室を出て行った。