エンドレスラブ(完)
てことで郊外にある撮影スタジオに着いた。
受付の人に案内されて、
ミーティング室みたいな所の前に通された。
そして…
コンコン。
「どうぞ。」
若い男性の声が聞こえてから、
柏木サンが「失礼します」と言いながら同時にドアを開けた。
あまり社交的ではない私。
なんて挨拶をしたら…っ。
「初めまして、担当者の柏木成美です」
柏木サンがいつもと違う、仕事の口調で挨拶をする。
「初めまして、監督の橘克哉です。
今日は無理なお願いにも関わらず、お越し下さりありがとうございます。」
………ん?
監督サンの声と名前が初めて聞くものではなかったので、
うつ向いたまま思い出してみた。
テレビのインタビューなどで聞いたのではなく、
実際に会って聞いたことのある――――…
そう思って恐る恐る顔を上げると…
「なっ…克哉兄さん?!」
「は!?若菜?!」
うそ!!!なんで克哉兄さんが…!!
「え…2人とも"橘"だからまさかとは思ったけど…
本当に親戚だった…?」
柏木サンが「マジで?」と驚いた顔をしている。
「橘若菜は私の姪です。
でもまさか若菜がエンドレスラブを書いてたなんてな…。」
克哉兄さんも驚いた顔して説明する。
「私もだよ!
克哉兄さんが監督やってるのは聞いたけど、
まさかエンドレスラブの監督だなんて…。」