エンドレスラブ(完)
柏木サンとの打ち合わせを終えてから、
世良修吾と一緒にエンドレスラブの撮影現場に行った。
移動の途中、世良修吾のマネージャーさんが運転する車の中で、
彼が口を開いた。
「…後悔はしてないけど、反省はしてる。」
ひじをつきながら窓から外の景色を見たまま、
私に目を合わせずにそう言った。
「私を利用したってことですか?
……もういいですよ。
あなたが私を利用してでもまだ上に行きたいのかは解らないけど……」
私も自分の権力(ちから)を使って彼を潰そうなんて考えるのは止めたから。
そう思ったのは、
さっきあった柏木サンとの打ち合わせ。
エンドレスラブの続編の依頼と一緒に伝えられた事実。
『熱愛報道が出てからエンドレスラブの売り上げがまた上がったのよ。
…それに、週刊誌やテレビの取材では最後に必ず世良修吾はエンドレスラブの宣伝をしているわ。』
打ち合わせ室の中にあるテレビから、ワイドショーで彼のインタビューが放送されていた。
私の詳しいプロフィールは絶対に教えずに、
インタビューの最後には、
『映画も観て欲しいですが、ありのままの原作が俺は1番だと思います。読んでない方は、映画を観る前に一度原作を読んで欲しいです。』
そう言い残した。
自分が出演する映画よりも、
その原作の方を強く宣伝した彼。
…彼の気持ちが解らない。