エンドレスラブ(完)





「よーい、スタート!!!」



カチンッ!!!!!







克哉兄さんのスタートの合図と、カチンコの音で肩が上がった。






びっくりした……。







「―――――……。」




始まったと同時に感じる空気の重さ。






このスタジオの中にいるキャスト、スタッフ、全ての人の瞳が別人のように変わった。






あんな真剣な克哉兄さん、初めて見た……。






「見くびらないで!!
なんで私がアンタなんかと付き合うのよ!!」




「百合が好きだからに決まってるだろ!!」




「馬鹿なこと言わないで!
私はあと1年しか………キャッ!?」






ドキン!




急に高鳴る胸。






百合と…私。






なんでだろ…書いたのは私で、

この先の展開なんて完璧わかってるのに。








目の前で抱き合っている捺と百合の表情(カオ)に、


私の胸の動きは高鳴るばかり。







凄いな、これが、演技。






「馬鹿野郎…っ、あと1年で死ぬみてぇな言い方すんな…!」






すごく切なそうな表情の捺。







あぁ、捺はこの時、こんなにも百合が好きで、愛しくて、絶対に死んでは欲しくないと思っていたんだ……。







文章だけでは伝わらない、尾崎捺が七瀬百合に対する気持ちが、


映像となって、

人物となって、

表情となって、



伝わるんだ…。





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