エンドレスラブ(完)
「ハイ、OK。」
カチンッ!!
びくッ!
またカチンコの音でびっくりした…。
「カメラチェックしまーす!」
ディレクターさんか誰かの声で、キャストと克哉兄さんがカメラのモニターの目の前に集まって、
先程撮ったシーンを確認する。
私…、完全にエンドレスラブの世界に入ってた…。
いや、私だけじゃない。
このスタジオ全体が
エンドレスラブの世界だった。
それが…一気に現実に戻る。
もっと、見たいなぁ…。
「うん、一発OK。
やっぱり彼女が見てるから気合い入ったのか?修吾。」
克哉兄さん…いや、橘監督が尋ねる。
ざわ…っ。
一気にスタジオ内がざわつく。
スタッフのほとんどがスタジオを見回して世良修吾の彼女を探す。
一瞬ビクビクしたけど、スタジオの照明の当たらない1番角にいる私に誰一人気付かない。
それにもし『君が彼女?!』と訊かれても『監督の姪です』と答えれば逃げ切れるし。
てか…変なこと言わないでよ克哉兄さん。
一生、監督なんて言わないよ?
「そうですね。
これ終わって次の仕事も終わったらデートするんで♪
早く終わらせたいんですよ。」
は?!デート?!
聞いてない!!!!
あ……百合役の女優サンが凄い顔して世良サンを睨んでる…。
この人、世良サンのこと好きなんだ。
そりゃそうだよね。
彼、めちゃくちゃかっこいいし。
いくら役で恋人同士でも、
意識とかするよね。