エンドレスラブ(完)
「皆知ってると思うが、霧島は女優をやっているから、
学校に来られる日は少ないと思うが、
その分仲良くしてやってくれ。」
先生がそう言うと、霧島サンを席へと促す。
……私の隣だ……。
「わ、私、橘若菜。
よろしく!」
「霧島華!よろしくね」
うっわぁー。
間近で見ると更に輝いて見える彼女の笑顔。
まさか…エンドレスラブの原作者と、その映画のヒロイン役が、
同じ学校で
同じクラスで
席が隣同士
なんて、
誰も思わないだろう。
授業中のヒソヒソ話に花を咲かせて、
私達の距離はぐんと縮まる。
休み時間はクラスの女子の質問責めで話せないから授業中。
たった数時間でお互いを「華チャン」「若菜チャン」と呼び合えるようになった。
でも、やっぱり私の正体は言えない。
お昼休みになり、私と南と華チャンの3人でお弁当を食べることに。
…が、南は隣の男子校にいる噂の敵から無理矢理呼びだされて、
私と華チャンの2人きり。
あ、南の敵は隣の男子校の子。
学校が隣同士だから、朝の風紀点検は合同で行われる。
私達はクラスの子の質問責めを避ける為、
人気のない図書室に逃げ込んだ。
「大変だね、女優サンは。」
「…まあね(笑)」
苦笑気味に答える華チャン。
窓から入り込む生温かい風が、
胸まで伸びる華チャンの赤茶の細い髪をフワフワなびかせる。
黙々と箸を進めていると、華チャンから初めて私に質問をしてきた。
「若菜チャンは、彼氏いるの?」