エンドレスラブ(完)
バ、バレた……。
私の正体……。
「言っておくけど、
脅すとかそんな卑怯なことはしないから……"今はね"」
低いアルトの声でそう呟いた華チャン。
「あなたには感謝してるわよ?
あなたがエンドレスラブを書かなければ、
私が初めて映画出演することも、
……修吾を好きになることだって無かった。」
顔を少し歪めて切なそうに想いをぶつける華チャン。
やっぱり…世良修吾が好きなんだ…。
撮影現場で見た愛しい人を見つめる華チャン。
その瞳は、女優じゃない、
普通の恋する女の子の瞳……。
「…そう思うと、あなたに腹がたった。
多分、彼は…いや、あなたも、
好きじゃないハズよ。」
…華チャンの言葉に、胸が重くなる。
確かに、私は世良修吾を恋愛対象として好きではない。
…でもね。もう少しなの。
もう少しで、彼に対して起こるこの胸の痛みの正体が、
分かる気がするの。
ズキズキと痛む胸をギュっと掴んで華チャンの話に耳を傾ける。
「2人に何があったかは知らないけど……
いきなりヒョコっと現れて、好きでもないのに恋人になったあなたが憎いの…ッ。」
そう言った華チャンの目尻に少し滴が溜っていた。