エンドレスラブ(完)
「みなさん本当にお疲れ様でした!!!
カンパーイ!!!」
「「カンパーイ!!!」」
克哉兄さんの乾杯の音頭でエンドレスラブの打ち上げが始まった。
都内にあるお洒落なバーを貸し切りにして、
たくさんのキャストやスタッフが飲んだり食べたりしている。
そして、世良修吾は――――…
「遅れてすみません!!」
一ヶ月振りの彼の生の声に、
自然と胸が高鳴る。
「おせーぞ主役!!」
開始から30分過ぎた頃にやってきた。
カウンター席に座っている私には多分気づいていない。
背中越しに聞こえる彼の声と……
「お疲れ様、修吾くん。」
華チャンの声。
多分、今2人は隣同士。
背中で声を感じとって勝手に想像して自分の胸を絞めつけている。
こんな馬鹿なことしに来たんじゃない。
会って、話をしたい。
伝えたい、自分の気持ち。
「じゃあ撮影も終わったことだし、次は宣伝だな!
頼むぞ"2人とも"!!」
後ろで聞こえたスタッフさんの言葉。
これから2人…世良修吾と華チャンは、
映画の宣伝の為、
更に2人でいる時間が増える。
…そう、この時感じる複雑で惨めな私の本音も伝えたい。
気がついた時には、
体が勝手に動き出して、
「ぅわっ……?!」
一ヶ月振りの彼の手をとって、
「若菜ちゃ……」
遠ざかる華チャンの声を聞きながら、
私達は、店を出た。