神様の意地悪
私は、ずるい



記憶を無くした事を利用している




記憶を無くした事を、きっかけに私と慎一は出逢った頃の新鮮さを満喫した


すっかり良くなり退院して仕事も復帰した



病院代は全て会社の労災


『慎一、お弁当できたよ』


『千尋、いつも、ありがとう、俺の好きな厚焼き入ってる?』



『ちゃんと、入れてあるよ』


『昼飯が楽しみ、行ってきます』


『行ってらっしゃい、気をつけてね』



凄く順調だ



昔に戻ったみたいだ


私の、お腹も、かなり目立つ


慎一には病院に行ってると嘘をついていた



病院に行ってない私は母子手帳も持ってない



たまに母子手帳を見せてと言われるけど体重が記入されているから嫌だと、誤魔化している



嘘に嘘を重ねてる私


慎一....



ごめんね....



私、今のままで、いたいの ....



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