シャンゼリゼ
運ばれてきたカクテルを口にすれば、思わず息が漏れた。
「うわ―美味しい…」
「だろ」
口元を覆うとバーテンダーが笑顔で寄って来た。
「その反応、嬉しいですね―。素直で可愛い彼女さんですね」
後半の言葉は橋くんに向けられていた。
「俺もそう思います。だから今日は口説きに来たんですよ」
「ああそうですか…。そのためにこの店を選んで頂けたのは光栄です」
「…ごほ、っ」
むせ返る。
バーテンダーは笑顔で席を離れ、橋くんは背中を撫でてくれた。
「何動揺してんの」
「…!」
背中に感じる指が熱い。