シャンゼリゼ
失礼、と小声で断ってから口付ける。
「う、わ…」
爽やかで、ほのかなライムの香りが心地好い。
「ジントニック好きなんだろ?」
「う…なんでわかったの」
「ゼミの飲み会でよく飲んでただろ」
なるほど。
「残りは菅居飲めば。俺ビール飲みたい」
「…」
私はどこまでもスマートな彼を少し恨めしく思う。
そしてそんな彼との距離感に戸惑いながら、ドキドキする感情を楽しくも感じる。
元彼の友達、で片付けられなくなっていたことは、私だって意識していた。