シャンゼリゼ
「…おい。起きろって」
橋くんがあたしの肩を揺らす。
「起きてるよ~」
「寝転がってんなら起きてるうちに入んない」
正論に返す言葉のないあたしは、せめてもの抵抗として唸る。
「ほら、」
「ん~」
「今夜中にレポートやらないとまずいんだろ。寝たら起こせって言ったのもお前だろうが」
「う~、眠い」
「早く仕上げてから寝ろ」
あたしの肩を掴んで起こす、彼の腕の強さや声の調子は優しい。
「一緒に起きててくれる?」
「ああ」
「…じゃあやる」
「ん」
隣で本を読んでいる彼はぶっきらぼうだけどあたしには甘い。