シャンゼリゼ



居づらい環境で長居するきっかけになってしまったのは確か。



「─それ、ここの鍵?」



手持ち無沙汰に鍵を手にしていると、突然たずねられた。


開いてたから使わなかったけど、しまうタイミングがなくてずっと握っていたのだ。



「ああ、はい。相太にもらった合い鍵です」

「相太の彼女?」

「はい」

「そう」



なぜだろう。

彼女だと言った瞬間、この人は眉をひそめた。



「あっ。確かに知らない女がいきなり友達の家に来たらびっくりしますよね」



相太に私のこと聞いてなかったんだな、と納得。

頭を掻きながら笑いかけたけど、それに対しての返事はない。



「あはは、は…」



どうしようこの人超クールだ。



(ああもう相太早く来い!)



< 25 / 72 >

この作品をシェア

pagetop