シャンゼリゼ
(──お、いた)
昼休みの学食。
奥の席に座っている彼女を見つけた。
ちらりと隣を窺うと、やっぱりこいつはそっちを見ていた。
「橋」
俺はあえて名前を呼んで、その視線の邪魔をしてやる。
「─なに」
俺の不躾な呼びかけにも顔色を変えることなく、橋は振り返った。
「今日俺帰んないから、頼むわ」
「…わかった」
俺と橋は同じ学部学科で入学当初からの付き合いになる。
必要以上にお互い干渉しないし、気遣いもいらないし、なかなかいい関係を築けていると思う。
橋は複雑な問題を抱えているやつで、ちょっと面倒臭い俺の事情と利害関係が見事に一致することから仲良く?なった。