シャンゼリゼ
金持ちの甘ったれとは思われたくなくて、ずっと努力してきた。
実家を明かさなくても女ウケする容姿だし、育ちのいいおかげで立ち居振る舞いでもモテた。
ちょっと所作がスマートなだけで二割増しに見えるらしい。
調子に乗って遊びまくってた俺にできた彼女は、俺の薄っぺらい価値観を吹き飛ばす子だったんだけど。
「相太」
「ん、どした」
土曜の夜。
お互いバイトが休みで俺の部屋でごろごろしていた。
「コンビニ行って来るね」
「向かいの?」
「ううん、あのドラッグストアの隣の」
ジャケットを羽織った彼女は財布を手に、すでに廊下を歩き出している。
「ちょい待ち。俺も出る」
「え―?寒いからいいよ。家にいて部屋あっためといてよ」