シャンゼリゼ
「相太って明日バイト?」
「うん。…ん―、確かラストまで入ってた気がする」
俺は少し考えてから、そう返答した。
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居酒屋のバイトは大学入学と同時に始めた。
金に困ってるわけじゃないけど、もともと勉強にしろバイトにしろ、頑張った分だけ成果が出るものが好きだからやらない理由がなかった。
やっぱりきついし、特に男子学生だと閉店までシフト入れられること多いし、慣れるまでは辛かったけど。
でも慣れたら余裕が出てきたし、オイシイこともある。
「相太くん今日お客にナンパされてたでしょ」
俺は予定通りに、10時にバイトを終えた。
「見てた?」
バイト仲間のさゆみと並んで駅まで歩く。
「見てたっていうか聞こえた。連絡先聞かれてたじゃん」
「居酒屋って女の子も大胆になりやすいからね。おいしいよね」
「うわ、さいて―」
「本音は?」
「…ちょっと妬けた」