シャンゼリゼ



二週間、彼女に連絡しなかった。

それから一ヶ月、アパートには帰らなかった。


彼女が俺のアパートを訪ねていることは橋から聞いていて、俺はそれでも橋にバイトを頼んだ。



─結果、久しぶりに帰宅すると待ち構えていた彼女にひざづめの説教をくらった。


まさかこうなるとは予測してなくて、ビンタも蹴りもしなかった彼女はひたすら怒りを話し続けた。

一月ちょっとの期間にかなりの怒りが溜まったのは当然だと思うけど。


「─だから俺なんかと付き合わなきゃよかったんだよ」


社会的に見て、浮気して一ヶ月以上帰らなかった俺は劣勢だと思うけど、それでもおとなしく静かにしていることはできなくて。

拗ねた言葉を呟けば、もうずっとそう思っていたことを実感した。


「何言ってんの?」



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