シャンゼリゼ



橋はわかっていたようで、頷いた。


「俺自分でびびってる。自分が女絡みで面倒臭いやつだと思ってなかった。まさかツレひとり無くすようなタイプだったとは」

「相太面倒。頑張って耐えろ」

「うわ、つらい…。今は無理だ。…つうか橋だってかなり面倒臭い方だろ、おい」

「面倒臭い方が人間らしいだろ」


そこからは橋と二人して朝まで飲んだ。


橋は早々に帰り、俺は不動産屋に向かった。



微かに痛む二日酔いの頭で店員の説明を聞き流しながら思う。


今すぐは無理だろうけど、いつか。

今を過去として笑える未来がくるといい。


その時は、
想像できない"らしくない"ノロケを語る橋と飲めたら楽しいかもしれない。



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