シャンゼリゼ




「その花火大会の日を忘れてたのはどこのどいつだよ」

「……」


何も言えません。



「私の浴衣見たかった?」

「……」



からかい半分で笑いかけてみれば。

無言でバスタオル越しに頭をがしっと掴まれて、そのままわしわしと髪を拭かれる。



「ちょっ、橋くん、力強くない?」

「こんな濡れたまま来るからだろ」


さらにわしわしと耳元の辺りまで拭かれた。


くぐもって音がよく聞こえない。






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