シャンゼリゼ


「………」

「橋くん今何か言った?」

「…花火だろ」



彼の声のような気がしたけど、やっぱりよくは聞こえなかった。


表情は暗くて見えない。

バスタオルから彼の手が離れたと思うと、視界いっぱいに橋くんがいる。



「「……」」



唇の柔らかな感触が消えないうちに、今度は私から追いかける。


< 71 / 72 >

この作品をシェア

pagetop