シャンゼリゼ
ジントニック
─うわ。
初めて来たバーで何を注文しようか、ものすごく戸惑う。
(ジントニック頼もうと思ってたのに、先に橋くんに頼まれちゃうもんな―)
「フルーツ系がオススメだけど」
「…じゃあ、スクリュードライバーで」
橋くんのアドバイスに従い注文する。
店内をちらりと見れば、落ち着いた雰囲気で他の客もリラックスしている様子。
お洒落で大人なムードが漂っている。
「ひゃ―、橋くんすごいね。こんな素敵なバーとか来ちゃうんだ」
「なんで小声なの」
「だって大人な雰囲気だから、大声でバカ話しちゃいけないなって」
「…別にそこまで気にする必要ないけど。俺もたまに来る程度だし」
橋くんは長い脚で軽々とスツールに腰掛けていて、短足のあまり足が浮いて少し落ち着かない私とは正反対。
くそ、様になっているのがまた悔しい。
「これまで彼女連れて来たりしたんでしょ?」