桃色初恋、甘口キス
抱きしめてキスして。
告白までしたのに……。

黄原はまた、ぶつぶつ言っている。

「青葉、俺の顔見て?
こんなに赤いのに、こんなに真剣なのに、まだ信じてくれない?」

確かに、黄原の顔は見たことがないくらい真っ赤で、瞳も真剣だ。

「本気で、お前が好きなんだよ」

何度も言わせるな、と、黄原はそっぽを向いてしまった。

「黄原、ごめん……」

あたしの言葉に、黄原はぴくりと肩を震わせた。

「あ、ああ、そう、か……。
いや、いいんだ……」

俺こそ悪かった、と、黄原はあたしの体をその腕から開放した。
触れて熱を持っていた肌が、外気で急激に冷えていく。

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