桃色初恋、甘口キス
連れてこられたのは、駅前のカラオケボックスだった。
学生が沢山いたけれど、どうにか待つことなく入ることが出来た。

「黄原、あたし今カラオケって気分じゃ……」

「よし、ここなら邪魔も入らないし、防音だし……」

「……?」

「うみ?
泣いても怒っても叫んでも、いいんだぞ?」

え、黄原は何を言ってるの?

「なんの話?」

泣いても怒っても叫んでもって……。
黄原には、あたしが情緒不安定にでも見えるのだろうか。

「今日、またも桃瀬さんと二人、様子がおかしかった。
あと、今泣きそうな顔してる」

「え……?」

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