優しいカレの切ない隠し事


『圭介へ。しばらく距離を置かせてください。ここへも来ないから。もう少し冷静になってから、お互い話し合おうよ。陽菜』


ゆうべ、置き手紙を書いてマンションを出た。

それを圭介が、どのタイミングで見たかは知らない。

だけど、次の日出勤すると、何も変わらない様子で仕事をしていた。

「陽菜ちゃん、おはよう。少し前にね、聖也さんから電話があったんだけど…」

わたしに恐る恐る声をかけてきた栞里さんは、明らかに聖也を意識しているみたいだ。

もし、予想通りに栞里さんが知っているとしたら…。

それは、圭介から聞いた以外あり得ない。

全く、どこまで二人は繋がってるんだか。

「ありがとうございます。かけ直します」

ごめんね、栞里さん。

こんな冷たい言い方はしたくないんだけど、やっぱり無理みたい。

栞里さんを見るたびに、圭介がちらつくんだ…。
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